今までに売れた本を読んでみようキャンペーン その7

オニババ化する女たち 女性の身体性を取り戻す
三砂 ちづる / 光文社
スコア選択: ★★★★


タイトルだけ見ると最近の女性はオニババになってきてるから男達は気をつけろ~みたいな本かもと思いますが,全く違います.

フェミニズムの風潮も後押しして,近年女性の社会進出が増加しています.20代,30代でバリバリ働いて,働いていれば結婚もする必要もないし子供だって欲しくなけりゃつくらなければいい.

親だって,
「仕事を持っていて自分の生活費が稼げるんだったら,別に結婚する必要もないよ」
と言います.
でもそれは,裏を返せば
「生きていくのにお金さえあればいいよ」
と言っているようにも聞こえます.

本当にそうでしょうか?
女性に生まれたからには,女性しか経験しえない,本当の人生の喜びというものがあるのではないでしょうか.
せっかく持って生まれた自分の身体をおろそかにしないで,もっと正面から向き合ってみてはどうでしょうか?

...と,いう本です.

正直,僕は女性ではないので分からない(実感がわかない)部分は多々あります.でも,月経はつらそうだなとか,妊婦さんは色々大変そうだなとか,出産は何だか良く分からないから怖いななどという漠然とした思いくらいは持っています.きっと,女性は僕が思っている以上の思いを持っているのでしょう.

でもこの本に書かれているのは,そういった“辛さ”ではありません.
詳しくは読んでもらえばいいと思うのですが,ここに書かれているのはそういうこれまで“苦行”とさえ認識されてきた女性の“経験”を,もっと大切なものとして向き合っていこう.その姿勢一つで“苦行”が“喜び”に変わるのだよと.むしろ,“喜び”の姿こそ本来そこにあるべき形なのだよと.

そういうことを教えてくれる本です.女性には是非一読していただきたいと思った本です.きっと“当事者”ならではの,僕と違った感想も持たれることでしょう.「そんなにうまくはいかへんよ」とかいう話も聞いてみたいところです.

あと,なぜ僕がこんなにこの本を好きになったのかというと,本の中に“温かみ”が感じられるんですね.筆者は40代半ばの女性で,大学教授を務めたり,「助産婦のいないブラジルに助産婦をつくる」といった活動をされていた人なのですが,この人の語り口調が優しいのです.文章の書き方がどうとかそういうことではなくて,行間に隠れた想いというか,本当に相手(女性)のことを考えて,“伝えて”くれているんだなぁという思いをひしひしと感じました.

そう,縁側でおばあちゃんがお話してくれている情景が思い浮かびました.
それは“オニババ”ではなく,何でも包み込んでくれる“おばあちゃん”でした.
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by Tickerer | 2006-01-25 22:46 |
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